『戦国楚簡研究2007』(『中国研究集刊』別冊特集号〈総四十五号〉)
平成十九年十二月 一四四―一六七頁
一、調査旅程の概要
二〇〇七年八月二十七日から九月二日にかけて、戦国楚簡研究会は中国陝西省の西安・宝鶏、および上海において学術調査を行った。
二〇〇一年以来、本研究会は、上海博物館の訪問、大阪大学における国際シンポジウムの開催、清華大学、武漢大学、台湾大学、東呉大学において開催された国際学会への参加など、国際的な学術交流を積極的に進めてきた。今回の調査は、一昨年度の湖北省荊門・荊州地区の学術調査、昨年度の湖南省長沙地区の学術調査に続き、本研究会のメンバーを中心とする共同研究「戦国楚簡の総合的研究」(科学研究費基盤研究B、二〇〇五年度~二〇〇八年度、代表者・湯浅邦弘)の一環として実施したものである。
行程は、以下の通りである。
八月二十七日 | 関西国際空港に集合。空路、上海を経由して、西安へ。西安泊。 西安 |
八月二十八日 | 午前、西安城壁(南門)、大雁塔視察、午後、陝西歴史博物館訪問。 夕、董仲舒墓視察。 董仲舒墓 夜、研究会。西安泊。 |
八月二十九日 | 午前、陽陵博物苑訪問。 午後、西安碑林見学。 夜、研究会。西安泊。 |
八月三十日 | 秦俑博物館訪問。 午後、始皇帝陵見学、半坡博物館訪問。 夜、研究会。西安泊。 |
八月三十一日 | 西安から宝鶏に向けて移動。 途中、周公廟見学。 岐山周公廟 午後、宝鶏青銅器博物館訪問。宝鶏泊。 宝鶏青銅器博物館 |
九月一日 | 宝鶏発、西安咸陽空港から上海浦東国際空港へ。上海泊。 |
九月二日 | 上海博物館訪問。 上海博物館 夕、上海浦東国際空港から関西国際空港へ。関西国際空港にて解散。 |
参加者は、本研究会設立時からのメンバーである浅野裕一(東北大学大学院)・湯浅邦弘(大阪大学大学院)・福田哲之(島根大学)・竹田健二(同)・菅本大二(梅花女子大学)に加え、通訳の白雨田(大阪大学大学大学院生)の六名である。この他、西安・宝鶏における調査にのみ、北京・清華大学に留学中の福田一也(日本学術振興会特別研究員)が現地で合流して同行した(写真1)。
西安・宝鶏での移動手段には専用マイクロバスを利用、中国国内での全行程に同行するスルーガイド、西安・宝鶏でのスポットガイドと併せて、予め旅行社を通じて手配した。
西安は、中国四大竃の一つに数えられ、猛暑を覚悟して臨んだが、意外にも、西安・上海とも、最高気温二十六~二十八度というしのぎやすい気温で、すべての調査 写真2 西安城壁(南門) 活動が円滑に行われ、予想以上の充実した成果を収めることができた。
なお、調査旅行の準備として、渡航一ヶ月余り前の七月中旬、訪問予定先に手紙を送り、来訪の日程と目的を伝えた。筆者(湯浅)は、各博物館の関係者とは面識がなかったが、昨年刊行した拙著『戰國楚簡與秦簡之思想史研究』(台湾・万巻楼、二〇〇六年六月)を同封して、我々が出土文献研究を積極的に推進している研究団体であることを説明し、考古文物資料の調査について協力を要請した。これに対して、各博物館からは好意的なお返事をいただいた。特に、陽陵博物苑、秦俑博物館からは懇切な返信があり、会談の具体的手順について御教示をいただいた。
(湯浅邦弘)